神岡探訪記
特別編その1/神岡鉱山の林用軌道
(2)
軌道跡という裏道を走ってみる.車同士はおろかもし通行人でもいれば避けてもらわなければ通れない程の狭さである.元来道路であればこれ程の狭い道にはしないであろう.住宅街の裏手の崖っ縁を進む.途中に小さな橋が何ヶ所かあり,その雰囲気からも軌道跡であることが判る.
軌道跡は暫く住宅地を通り,掘り割りを通る県道を橋で越えると右手に逸れて歩行者専用道となってしまう.筆者達は車なので,平行する自動車道から軌道跡を辿る.さらに暫く行くと軌道跡は道とも空き地とも言えぬ敷地になり,市街地のとあるスーパーマーケットの敷地で終わっているようであった.そして,そのスーパーマーケットこそが,旧神岡鉄道の終点であった.現在に至るまで資料も情報もないので確証はないが,この軌道は旧神岡鉄道の終点である神岡町から双六渓谷までの間を結んでいたのではないか.
軌道跡を縦走した筆者達は,先程の作業場の男性の言っていた資料館に行ってみることにした.しかし,この資料館は以前にも訪ねており,この軌道の物意外も含めて車両のような物はなかったと記憶していた.単に見過ごしていただけかも知れず,折角かので確認に訪ねてみることにした.
神岡城の敷地内にある2階建ての資料館は,神岡の鉱山や郷土の歴史が展示してある.小規模ながら展示は素晴らしい.しかし案の定車両などどこを探してもない.資料館の建物の裏まで見たが形跡すらない.事務所にいた職員氏に訊ねると,確かに以前は展示していたが,何とあろうことか何者かによって持ち去られたとの答えが返ってきた.いつの間にかなくなっており,関係者も誰一人行方を知らないと言う.盗まれたという確証もないということだったが,さすれば関係者が何らかの事情で車両を移動または廃棄し,それがたまたま一部の関係者以外に知らされていなかったのか,或いは本当に盗まれたのか.いずれにしても貴重な林用軌道の遺物には逢うことはできなかった.
落胆の筆者達だったが,林用軌道の発見に気をよくし,資料館を後にして土産屋に立ち寄り帰途についた.
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林用軌道の橋梁.国道から望めるが,注意して見ていないと見落とす.
川の部分は撤去されているが,橋脚は残されている.道路橋にしては幅が狭く,使われなくなってかなりの年月が経っていることが一目で判る.
軌道跡と思われる裏道.住宅街の裏にひっそりと続いている.
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